花発多風雨 人生足別離
( 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ )


◇ ◇


 すべてのものから遠ざかって、ただ、ひとしく距離を置いて。
 いつのころからか、そういうふうに生きる術を身につけていた。
 百年に近い歳月の中で、「人」との別れはいつも突然で、いとも簡単なもので。それはあまりにも当り前のことだったから、ずっと知らずに生きてきた。
 焦がれるとか、囚われるとか、いとおしい、とか―――たったひとりが、こんなにも大きな存在になることを。

 だから、つい立ち竦んでしまう。日々ふりつもる、この面映ゆい幸福の中で。


C e n t u r i a l