たとえば常に彼女の一部でありたいと願い、些かの疑いもなく彼女は己が全てであると信じる。そんなふうに酷く愚かしく造られた我々は“人”と呼ぶにはあまりに不自然な存在だ。
 恋情に似たこの渇望は、彼女に所有されることでしか満たされない。
 どんな形でも構わない。
 ただ彼女が望む形で。
 彼女が望む距離で。
 願わくば―――最期の瞬間まで彼女のものであり続けたい。


I Was Part Of You.   And You Were All Of Me.





 継花と泰あのそれぞれの朝をお届け。
 某様より、迷っちゃうくらい楽しいリクをいただけて、自分でも大興奮で書いてしまったもの。
リクエストはいくつか候補を頂いた中から『寝込みを襲う継さん』/『甘える泰明さん』を。
 タイトルはギリシアの歌姫ナナ・ムスクーリのヒット曲「Only Love」の歌詞から。
 I Was Part Of You. And You Were All Of Me. (あなたには 小さな愛 でも 私にはすべてだった)
 この一節を無理やり分割して「I Was Part Of You」を継花の泰継視点のお話に。そして「And You Were All Of Me」を泰あの泰明視点のお話にしてみました。